田舎といえばこの人、北側寒囲氏

田舎を舞台にしたエロゲーを語る上で欠かせない人物、それが北側寒囲氏(以下北側氏)。
第一回では、この人物を取り上げて生きたいと思います。

北側寒囲(きたがさむい、1978-)は、日本のライトのベル作家、ゲームシナリオライター。高知県出身。
元株式会社ディーオー所属。
日本の田舎を舞台としたコメディタッチな青春群像劇を多く手がけている。
(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

と、Wikipediaにもあるとおり、田舎ゲーを多く手がけるシナリオライターさんです。
かつてはDO所属、現在はフリーとして主にAXL、ブルームハンドルという二つのブランドで作品をリリースしています。
現在までに(スピンオフ、FDを除き)15タイトルを手がけたうち、9作品が田舎ゲーという脅威の高打率を誇っている北側氏(*1)。
田舎ゲーのスペシャリストと言っても過言ではないでしょう。
mixiなどの御本人による記述を見る限り、自分でも田舎ゲーライターだという自覚を持っていらっしゃる様子。

北国を題材にしたものとして『雪桜』、『こなゆき、ふるり。』、海辺が舞台な作品だと『海道』、『波のまにまに』、
高原を舞台にしたものだと『夏のひとしずく』などなど。
詳しくは上のリンクからWikipediaを参照してください(ただし、シナリオ監修作品も含まれます)。

以下、私が北側作品をプレイした上での感想です。
ただし、『チュートリアルサマー』だけ未プレイであることをご留意ください。
その北側氏の作品ですが、上のWikipediaの記述にもあるとおり、田舎を舞台にした青春純愛物が基本。
主人公とヒロイン、プラスして主人公の悪友(大抵はお馬鹿)、主人公・ヒロインの両親や近所に住む大人たち(大抵ちょっとズレてる)といったキャラクターが、
田舎の町で騒がしくもまったりと日常を送る、というパターンが多いでしょうか。
話を盛り上げるために個別ルートにおいてはシリアスな展開にもなりますが、基本的にわだかまりなくハッピーエンドで終わります。
安直であるとかご都合主義であるとか、あるいは話が退屈だと批判されることもありますが、田舎ゲーとしてはそれが正しいんじゃないだろうかと
個人的には思いますがどうでしょうか。
キャラクターの描写に関しては、言葉は悪いですが「田舎者」という人種を表現するのが非常に上手いように思います。
いい意味で大らか、変に都会にコンプレックスを抱くこともなく、地に足が着いている感じというか。
もちろん、現実の田舎に住んでいる人がこういう人ばかりだというわけではないでしょうが、「田舎でまったりと日々を送る感じ」を表現するためには
こういうファンタジーが必要だと思います。
舞台描写に関して。
日本の北から南、海辺から山間まで色々なシチュエーションを描く北側氏。
私の見る限りでは、どの場合もきちんと取材して描いているように思えました。
そのうえで、シナリオに合わせて創作要素を入れているといった感じです。
「雪桜」で、主人公たちが汽車(not電車)に乗って通学する場面があったかと思いますが、
ああいう場面は北海道の田舎育ちの私にとってリアルでした。
それはねーよ、と思われる部分もあったりしますが、物語が面白くなるならそういうファンタジーもありでしょう(*2)。
南のほうは行ったことがないので私にはわからないのですが、「海道」なんかでは北側氏の実体験による描写が多いはずなのでリアルなのでは。

キャラクター、舞台設定ともに、実体験を基にしたリアルな描写に少しのファンタジーを加えることで、
ある意味理想的な田舎を作り出す、というのが北側氏の持ち味だと言えるでしょう。
実際の田舎暮らしにつきものの嫌なことはぼかしつつ、まったりとした田舎暮らしのよさを前面に押し出すという。
不思議な出来事や強敵とのバトルは(ほとんど)起こらないけど、牧歌的な雰囲気の中、ヒロインや友人たちとの交流をゆるーく楽しむ。
このあたりが北側氏のシナリオの魅力であると言えるでしょう。
逆に言うと、ドラマティック、ダイナミックな展開、謎解きやバトルなどの要素を求める方には全くお勧めできませんのでご注意を。

あと、田舎ゲーではありませんがD.O.から出ている『れすとあ』も個人的にお勧め。
部活動を題材にして、ゲーム内時間1年以上の長いスパンで描いた作品。
少々鬱が入っていないこともないのですが、爽やかな感動を呼ぶ青春アドベンチャーです。
ボイスがついていないのでフルボイス化を願いたいところですが、無理だろうなぁ……。

mixiでの文章も読ませていただいていますが(マイミクではない)、コミカルで非常に面白いです。
アカウントをお持ちの方は読んでみるいいかも。

(*1)少々毛色は違いますが、『PrincessFrontier』も田舎ゲーとしてカウントしました。
(*2)北海道生まれの私に言わせれば、北海道、もしくは北国を舞台にしたゲームには寒さを甘く見ている描写が多いです。
  たとえば冬の北海道で青○なんてとてもじゃないけど無理ですw

関連リンク
株式会社D.O.
北側氏のかつての所属会社。
『雪桜』、『海道』、『夏のひとしずく』などがリリースされています。
現状活動しているんだか活動していないんだか。
ブルームハンドル
『波のまにまに』『こなゆき、ふるり。』をリリースしたブランド。
原画担当のぺこさんはD.O.時代にも北側作品の原画をされていたり。
スーザンの悲劇は記憶に新しい。
AXL
アクセル。
青山ゆかりゲーで有名なブランド。
『キミの声がきこえる』『PrincessFrontier』(と『チュートリアルサマー』)がリリースされています。
原画家の瀬之本久史氏は、今は亡きWitch時代から根強い人気のある原画家さんですね。私も好きです。
北側作品ではないですが、『恋する乙女と守護の盾』は同ブランドの評価を高めた作品。お勧め。


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